夢ラン~笑顔×世界翔ける自転車~

これは21歳大学生が笑顔とともに世界一周する物語です

Day13(2) I'll never forget to you

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High camp-Throng ra pass(トロンパス)-muktinath
 
【続き】

トロンパスを出てからムクティナートまでは10km1700mダウンの下り。
全て舗装路だったらものの20分もあればつくんだろうが、登山道だし、そもそも全て雪。
日暮れは18:00
ムクティナートまで家のひとつもないので夜中になろうがなんだろうが行くしかない。
 
既にエネルギーの絞りカスまで出し切った体。…果たして本当にたどり着けるのだろうか。
 
 
昼飯は?と思うかもしれないが、食べていない。というのも、このアンナプルナサーキットに来るにあたって情報収集したのだが、どれにも一日平均1500円と書いてあった。
ので、日数分×プラスアルファで持ってきていたのだが、初日から1500円ほどだし、標高が上がるにつれて一食800円になり、飲み物のひとつ追加で頼めばたちまち3000円未満になる。
 
…平均1500円とはどこから出てきた情報なのか。
今年になって物価が全体的に上がったのかもしれない
 
 
というわけでお金が足りず、時間もなかったので食べずにトロンパスを後にしたが、動けない上にエネルギーも切れた体。
動けるはずもなく何度も何度も座り込む
 
 
カメラを出す気力も残っていなかったので、写真はない。下りもかなりの斜度がありブレーキをする手が疲労する。それに登山道は狭く、自転車と人が収まるだけの幅はない。
 
かと言って積もった部分を歩くと自転車は重く、思うように進まない。バックパックを背負う力ももう残っていない。
 
結局自転車を積もった部分を走らせ、雪で止まるのをブレーキ代わりにして、雪に埋まらないよう上手く推し、持ち上げながら下っていくのがベストとなった。
…ただしこれだとたまに前輪が踏み抜いた跡に突っ込むと後輪が持ち上がり自転車が体目掛けて降ってくる。
これは大ダメージなので前のブレーキはかけず慎重に進む。
 
 
前回のブログは綺麗に収めたかったので←(笑)書かなかったのだが、お腹を壊していた。何度も下痢に悩まされたのも苦労した。
 
途中えげつなくきつい下りがあった時は力を使うので何度も何度も休みながら下った。
 
時計を見ると16:00
日の入りは18:00。地図から残りの距離を計算してもどう考えても間に合わない。
つづら折りのところはショートカットして無理やり降りたり、動かないからだをなんとか酷使してムクティナートへ
 

日が沈んで暗くなってきた18:30
ようやく建物が見えた。地図によるとなんとホテルらしい。
ムクティナートまでは3キロ。
酷使に酷使を重ねたからだはもう完全に動かないのでここに投宿を決定。
 
…がしかし、宿のおっさんに断られる。
”ここには電気も光もWiFiもないからムクティナートまで頑張りな。”
 
なんということだ。
そんな劣悪な環境の宿泊まるやつなんて標高5400まで自転車担いで昇ってきたアホくらいしかいないというのに。
発狂しながら下っていく。
 
スーパーイージーと言われたが、その言葉の通りムクティナートまでは非常に緩やかなくだりで、片足だけペダルの着いた自転車でキックボードのようにもう片足でコントロールすれば乗れた。
 
…が、引っ掛けて転んだ時とんでもないことに気づく。
 
フォークに着けていたバッグがひとつない。
 
 
宿の直前で確認したのでそこまでのどこかだが、何せもう時間は7時。
真っ暗で体も動かない。イライラと疲労で発狂しながら動かないからだを鼓舞して戻る。
…案の定バッグは宿にあった。
 
くだりでムクティナートに向かうおじさんに出会う。かれは馬を迎えにムクティナートに行くらしいので、そこまで付き添ってくれるらしい。
そして疲れきった僕のため自転車を運んでくれた。
 
なんて神!!!(語彙力)
 
彼の名前はミディ
途中彼も運び疲れて交代交代で運んだ。
僕がどれだけ重労働してきたか分かるだろ?と言いたくもなる。
途中で橋に突き当たった。この橋なんと雪が積もっていてとても1人では自転車を運べない。2人がかりで運んで突破した。
もしミディがいなかったらここで再びぶっ倒れていたかもしれない。
 
その後も2人で運ぶが、僕が力尽きて一人で運ぶことが出来なくなったのでミディがホテルまで運んでくれた。
彼はそのスピードすら早く、ダッシュでヘロヘロになりながら追いかける。
 
ついに町の光が見えた。
残りの力をふりしぼり、最後にホテルの階段を2人で自転車を登らせゴール。
 

ミディは命の恩人だった。
I'll never forget to you!!
こんな言葉初めて使った。しかし彼にあわなかったら僕はおそらくたどりつけなかった。お礼に500ルピー渡したが断られた。なんて紳士なんだ。無理やり押し付けて渡した。
そうして彼は馬を連れに行った
 
 
ホテルは500ルピーと高かったが、見た目は今までの中で一番いい。
ホテルに入ると道中出会った人達が相変わらず
hey super hero!!'
 
と声をかけてくれる。
足跡を見なかったから心配したぜ。と言われた。そりゃそうだ。何せ最後尾で真っ暗になるまで自転車押してたんだからな。
 
動かない体で何とかシャワーを浴び、そのシャワーが浴びた時だけ冷たくて後悔しながら泥だらけになった服や靴を洗い、ガタガタになりながらご飯にありつけたのは夜21:30だった。
 
麺スープのトゥクパに鳥を追加してもらった。上界に比べれば破格の安さだ。
めちゃくちゃ美味しいのだが、異変に気づく。
震えが収まらないしご飯が食べれない。昼も食べてないのに。
よく考えると体が熱い。 
 
あぁ、風邪ひいたな。
そりゃそうだ、つい数時間前まで死にかけていたんだ。運動量に対してご飯も食べていない。
そういえば、お金が足りないという話をしたが、ネパールで一番安いものを頼むとほとんど野菜と炭水化物しかない。
それを繰り返していたんだ。今体重45kgくらいなんじゃないかな。とも思った。
 
とにかく、食べ終わってすぐ部屋に戻り、標高5000m同様布団を2重にして寝袋にくるまって寝た。